「それはご丁寧にどうも。」




凜羽は形式張るようにペコっと頭を下げる。


次その顔を上げたときは、獲物を狩る獣のように目を輝かせていた。


凜羽はちろっと紅い舌を覗かせ、唇を舐める。




両手で刀を上から構えると恭弥に向かって走り出した。




恭弥はその細い刃先を、トンファーで確実に捕らえて止める。


凜羽は弾かれた刀を、今度は直ぐさま振り下ろした。


武器同士はガチガチと音を立てて押し出すことを許さない。


二人は後ろへ引き、くるっと一回転して受け身をとった。




凜羽は刀を構えて、加速を付けて恭弥へ切りかかる。


恭弥はそんな凜羽の刀を、トンファーを回転させ払い飛ばした。




「み゙ゃ!」




武器が弾かれた勢いで吹っ飛び、元の姿で回転した黒神は、壁に背中をぶつけ鳴いた。


この手の武器は、強い衝撃を受けると元の姿に戻ってしまうことが多いからだ。




「黒神さん!」




凜羽は黒神に駆け寄った。