「ゲームなんて知らないよ。」


「まぁまぁ、だってこの学園の姫になれるんよ?」


「そんなの望んでない!」




体育館へ向かう渡り廊下で大声でおしゃべりする生徒たち。


それを遥か上の屋上から見下ろす影が一つ。




「姫桜優芽か。」


そっと一人の名前を呟き、彼は不敵に笑ってみせた。




ざわめく体育館で騒ぐ生徒たちと、疲れ顔の先生たち。


「彼にはもう、たじたじですよ。」


校長も隣に立つ教頭に愚痴を漏らす始末。


教頭は額の汗をハンカチで拭って、


「そうですね。」


と呟いた。


[彼に逆らえばどんなことになるか。]


教頭の頭にあるのはそうゆう考えだけだった。




「恭弥様に会えるのよ!」


「恭弥様素敵よね!」




騒ぐ女子たち、特にこれから関係のない男子たちはただ授業がないことにだけ感謝した。