「君の名前は?」 「名前…?」 名前などない。 私は口裂け女なのだから。 だがタカユキに私の正体がバレたら嫌われるだろうか。 それだけはなんとしてでも避けなければ…!! 「名は……いつか教えてやる」 「あははっ。楽しみにしてるよ」 そう言うと、タカユキは真っ暗な闇の世界に紛れていった。 ……それにしても、不思議な人間だった。 妙な催眠術を使い、私を陥れるとは。 いつか必ず殺してやる。 そう思うと、なぜか胸の辺りがチクリと痛んだ。