口裂け女の恋愛事情


顔が熱いしさっきからずっとドキドキしてる。




さてはこの人間、何かしらの催眠術を使ったわね…。




言いなりになるもんですか!




私は再びポケットからハサミを取り出した。





「だから、ハサミなんか危ないだろ?それは僕が預かります」





「ええっ…」





ひょいとハサミを取られ、為すすべがなくなった。




これじゃあ人間を殺せない…。




なんとか返してもらわないと…。





「お、お願い…返して…」





「もうハサミを人に向けないかい?」





この人間…条件を出してきやがったわ…!!




だが仕方ない。




ここはハサミを取り戻すため、条件を飲もう。




私はコクリと頷いた。





「うん、よろしい!」





人間はニコッと笑うと、私にハサミを返してくれた。




そのとき微かに手と手が触れて、ドキッとした。