口裂け女の恋愛事情



夜道に足音が響いてくる。




次のターゲットはあいつにしよう。




暗くてよく見えないけど、多分男。




さぁ、私を見て驚くがいいわ。





「ねぇ」





ぽそっと声をかけた。




電柱についている外灯がバチバチっと点滅した。





「……はい?」





光に照らされて、その男の容姿が明らかとなる。




真面目そうな黒髪に真っ黒なスーツ姿。




社会人だろうか。




まぁ、そんなのはどうでもいい。




さっさと私を見て怯えて逃げなさい。