昔、世瑠くんがヴァイオリニストの役を演じる為だけに練習してたのを傍で見ていた
世瑠くんって普段いい加減でただの飲んだくれなのにそういうところは真面目だから
自分で全部演技するため練習してた
それを見ていただけでこの曲を弾ける俺は天才ですけどね
スタッフから受け取ったヴァイオリン
客席が静かになったのを確認してそっと弾き始める
小学生の頃以来初めての演奏
意外にも身体が覚えているようであっさり弾けてしまった
「初瀬世或くんでした」
終わった
ステージから立ち去り控え室に入った途端、全身の力が抜けた
「あの親父あとで文句言ってやる」
嘘ばっかり教えやがって



