「ばいばい」

ほんとはサヨナラなんて言いたくないのに、アッサリとした口調で別れを告げた。
涙なんて全然こぼれる気配がしなかった。
悲しさよりも、悔しさのほうが大きかったからかもしれない。

あの頃、桜木のように広い心で許してあげれたらなんてズルイ心を悟られたくなくて、クルリと向きを変え、車が停めてある駐車場に向かった。




「・・・っまた!会えるよなっ?!」



背中に大きな声で呼びかけられた瞬間、足がピタリと止まった。


「・・・また、会えるよな・・・?」


今度は消え入りそうな不安げな声で繰り返す晴斗。

その言葉に思わず目を瞑ってしまう。


なんで・・・そんな風に最後まで・・・ーーーーーーー



「本当に、晴斗は分かってないなあ・・・っ」



上手く笑顔で言えただろうか。

振り返った瞬間に涙は零れなかっただろうか。



振り返って見た彼の表情を見る限りでは、どうやら失敗したようだった・・・ーーーーーー。







END