ペラッと本のページをめくる音が、静かな部屋に溶けていく。 その音のする方を向くと、アイツが本を真剣に読んでいる。 1分くらいだろうか、ただボーッと視線をアイツ千音(ちと)においていると、ふいに向こうもこちらを向く。 あたしはすぐに目をそらして、自分の白のノートパソコンに視線うつした。 「…なに? そんなに見つめられたら穴が開くよ」 ククッと喉の奥を鳴らして笑っている。