五人目は挙動不審な男の子。頻繁に周囲を見渡し、誰かと目が合うとすぐに反らしている。話し掛けると逃げられるかもしれないが、サクラの言う通り長い付き合いになるかもしれないし、相手の事は知っておきたい。

「ねぇ……」

「ひっ」

驚かせないように正面から声をかけたが、男の子はかなり驚いたようで、顔を上げられず震えている。

あたしは彼を落ち着かせようと、彼の目線より低い位置まで腰を落とした。

「大丈夫、何もしないから。名前教えてほしいだけ」

「……名前……ですか……?」

声が震えている。そこまで驚かせてしまったのだろうか。