館内で人を探すために部屋を出ると、そこは目を覚ました真っ白な部屋とは別世界だった。

曲線や楕円が多く用いられ、規則的に乏しく歪だが、きらびやかな装飾は、さしずめバロック様式といったところだろうか。

館は広く、長い廊下が続く。所々に派手な装飾のドアがあるが、どれも開かない。あたしは開かないドアを無理に開けようとはせず、廊下の先へ進む。廊下は曲がり角が多いものの、分かれ道のような場所はほとんど無いため、迷うことは無かった。

最初にいた部屋から出て、10分ほど開かないドアだらけの廊下を歩いてきたが、それも終わりを告げた。突き当たりに一際目立つドアがあったのだ。

あたしは、誰かいますように、と祈るような気持ちでドアを開けた。


そこは、あの部屋と同じ真っ白な空間だった。
天井も壁も、何もかも白い空間。しかし、一つだけ違っていたのは、その部屋の奥の壁には巨大なモニターが取り付けられている事、そしていくつかの机と椅子が置かれている事。

そして、何人かの人がいる事だった。