話し合いが終わり、ギルド「男女奏」<ウーマンテット>を出たころには、外は街灯が主役になりはじめていた。
明るすぎるこの町では、星は見えにくい。ただの群青色が広がるだけだった。
さてこれからどうするか、と考えていると、トゥーヴァが「移動魔法」<ムーブ>を使い現れた。
「今日はどうするのだ」
ディエヴァの話を聞く時はどこかへ言っていたので、当然この後昨晩のように見張るか、見張らないかは知らなくて当然だろう。
「もし、まだ大丈夫だったら明日までにギルドに戻るとよいぞ」
突然、トゥーヴァの口から漏れたその言葉に男の子も、カンナヅキも首を傾げた。
「ティアが帰ってきている」
その言葉に男の子だけが納得し、声を漏らす。カンナヅキはまだ納得していない。
ティア、という人物は男の子の口から聞いた名だった。
「天使の誘惑」<ハニーエンジェル>の、ギルマス(ギルドマスターの略)だったはずだ。
「そう遠くもないからね…一旦ギルドに帰るよ。そこから、またあのホテルに戻るね」
「心得た」
二人の中だけで会話とこの先の出来事が成立し、カンナヅキがギルマスが帰ってきて何の問題があるのだろう、と考えたまま、またトゥーヴァはフッと消えてしまった。
「ティアに会わなくちゃ。次いつ帰ってくるか分からないし」
「え、どういう事っ…ひゃぁっ!!」
カンナヅキが男の子に詳細を聞こうとすると、一瞬にして感じる重力がおかしくなり、視界はかき混ぜられたかのように荒れる。
それは一瞬で、気がつくと風が包むようにしてカンナヅキを撫でてゆく感覚と共に、下を向くと人は小さく屋根よりもずっと上に居た。
「驚いた?」
少し悪戯っぽく微笑んだ。男の子の手にはカンナヅキの手が繋がれている。
「驚いたとかじゃなく、て…どういうこと!?」
今の状況も、これからの状況も分からないカンナヅキはそう叫ぶ事しかできなかった。


