「ねぇ、そのリュックの大きさでさ、こんなおっきな地図が出て来たけど……どういう事なの?」
ディエヴァが部屋を後にしてすぐ、カンナヅキは男の子に尋ねた。
男の子は、あぁ、とだけ声を漏らして、背中にもたれかかっていたリュックを取り出した。
「これは、この前言ってた人工魔器で作られたやつなんだけどね……ん…まずは「召喚術師」<サモンナー>の方が先に説明した方がいいかな…」
カンナヅキは聞きなれない、さもんなーという言葉に首をかしげる。
男の子にはカンナヅキのその反応は読めていた。
「「召喚術師」<サモンナー>というのはね」
男の子が、体制をカンナヅキの方に向けて話そうとした時、ドアノブが回された。それは、ディエヴァが帰ってきた合図だ。
男の子は慌てて体制を戻す。それに合わせてカンナヅキも背筋を今一度伸ばす。
「あ…ごめんなさい、何か話してました、よね」
ディエヴァは申し訳無さそうな顔で、二人の顔を交互に見るが、男の子もカンナヅキも、いえいえ、と否定する。
ドアを半開きにし、体は部屋に半分入った状態で止まっていたディエヴァの後ろには、何やら賢そうな男性が立っていた。
見える範囲はごくわずかに関わらず、そんな印象を与えてくるその男は本当に賢いのだろう、と感じさせた。
「入ってください、」
男の子がそう言うと、ディエヴァはドアを完全に開ける。
ディエヴァは高身長な方だが、男はディエヴァよりも少し身長が高かった。
きらりと光るメガネに、ぴしっとしわなく着こなされたスーツ、オールバックに固められた髪。
カンナヅキは少し、抵抗を感じた。
そして、ディエヴァがソファーに腰掛けると、その隣に立ち男はまず、お辞儀をする。
男の子も立ち上がる。カンナヅキはそれに合わせるように慌てて立ち上がる。
「どうも。ディエヴァのマネージャーをやらせてもらっております、リナルドと申します。…どうぞ、お気になさらず、座ってください」
そう言われ、男の子とカンナヅキはソファーに腰掛けた。
「えっと、リナルドを連れてきたのは…」
「今回の事件が起きて以来、公園で訪れた町や村、その時の公演時間や日時などの詳しい事でございますね」
ディエヴァが話そうとしたことを、ディエヴァが話す前に全て言い切ってしまう。
男の子は、再びペンを取り頷いた。
リナルドが小さく何かを呟くと、現れたのは液晶魔器のようなものだった。
しかしそれは、リナルドが自在に操れるようで、公演等の詳細がびっちりと書かれたそのボードのような液晶を指で操作する。
これなら狂いが無い、そう安心して男の子は地図を見渡した。


