風神さん。



男の子とカンナヅキは近くのレストランでランチを取ったあと、またディエヴァのいるギルド「男女奏」<ウーマンテット>に向かっていた。

昨日と変わらない人混みは、まだ慣れないカンナヅキは男の子のリュックを掴みなんとかついていく。

カンナヅキが昨日から思っていた事。すれ違う人々は皆、かわいい装飾品等を身につけ、煌びやかな服装をしているのだ。
そして、自分の服を見る。

グレーのワンピースを一枚身にまとっているだけだった。
自らが奴隷だった時に支給された服そのままだった。

別に、綺麗でかわいくておしゃれな女の子が着るようなものを望んでいるわけではない。そう、考えているのだ。が。

やはり、心の何処かでは、そんな服を着てみたいという願望があった。
人混みの中言葉がかき消されるせいで、かわせない会話。
カンナヅキをそんな思いに耽らせるのは容易だった。


それから、少し歩いて、リュックが手から離れる。同時に男の子の声も。

「さ、ついたよ」

「うん……」

男の子の優しい笑顔を見ずに返事したカンナヅキはギルド「男女奏」<ウーマンテット>の入り口に伸びる階段に足をかけた。