風神さん。



次に目を覚ました時は昼過ぎだった。
正確な時間は見ていないため分からないが、薄いカーテン越しに差し込む光の強さと、外から聞こえる賑やかな町の声。

次にカンナヅキの思考を占領したのは自分に抱かれ眠る男の子。

小さな男の子のからだを抱きしめながら眠っていたようだ。
いくら少年と言えども、一人の男として意識してしまったカンナヅキの頬は紅潮する。

しかし、気持ち良さそうに寝ている男の子を羞恥に任せ突き飛ばすのは可哀想だ。
複雑な気持ちで男の子を抱きしめたまま動けなくなっていたカンナヅキは、考えるのをやめた。

「大丈夫……そういうのじゃ無いし」


そう小さく呟くと、男の子はカンナヅキに腕をまわした。
カンナヅキも、男の子の温もりにまた目が重くなり始める。

「仲が良いのだな」

小さな町の声だけが聞こえる部屋で、女の声がした。もちろんカンナヅキが喋ったわけではない。
その声にカンナヅキの思考回路は一旦全て遮断される。
そして落ち着いた思考は再び羞恥に染まり始める。

「そういうのじゃないッ!!」

カンナヅキは声の主がトゥーヴァだと分かり、顔を真っ赤にしながら、否定する。
カンナヅキの手と足は男の子を突き飛ばしていた。

他の血が混ざっていようとも、傭兵部族、ツキビト族の者だ。男の子をベッドから壁に叩きつけるようにして突き飛ばすのは容易い。


突然の痛みと目覚めに、男の子は背中の痛みを感じながらもどうする事も出来なかった。