風神さん。



カンナヅキが強引に見張り役を交代した後、カンナヅキはただ外を眺めていた。
が、気を抜いてはならない。いつまで続くかも分からない小さな緊張状態に、カンナヅキは3時間ほどで疲れていた。
男の子がずっと見張っていたのは、3時間以上。
カンナヅキは男の子に改めて凄さを確認したのと同時に交代してよかった、と安堵もした。


それから数時間、カンナヅキはずっと見張っていた。何度かあくびをする度に男の子は気を使って変わろうか、と聞くせいであくびも食いしばって我慢しながら、外を眺めていたら、黒か青か分からなかったような空が、うっすらと群青色に近い色に染まってゆくのが分かった。
ゆっくりと色が薄まってゆく空に、カンナヅキは焦りを感じていた。

男の子が見張っていた時、何か落ち度があったか?

ありえない。

カンナヅキは一瞬でも男の子を疑ったことに恥じる。

しかし、自分に落ち度はなかったと言えるだろうか。

分からない。こみ上げる申し訳なさに、カンナヅキはあくびを堪えるわけでもないのに歯を食いしばっていた。


「…今夜は動きがなかったね」

そう言ったのは、男の子。カンナヅキの落ち度はない、そういう意味も込めているのかは男の子のみぞ知る。

「私、見逃しちゃったのかなぁ」

小さなチェアーにどっと疲れたようにもたれかかる。
問いではない、願いだった。
見逃していないように。そう、カンナヅキは心のどこかで願っていた。

トゥーヴァは、何も答えない。

しんみりとした空気を、朝焼けがただ三人を包み込んだ。