風神さん。



「セイレーンになってしまう事が増えた前後、何かおかしな事はありませんでしたか?」

男の子が、そうディエヴァに尋ねた。もちろん、ディエヴァは首を横に降った。そんな事を覚えていたならば、すでに手をうったであろう、とディエヴァはわざわざ説明した。
ディエヴァには、自分では気づかぬうちに苛立ちが募っていっていた。

自分では何もできない、何も分からない、覚えていない、全て他人から聞いたこと。そんな歯痒さに、本人に自覚は無くとも苛立ちは男の子とカンナヅキには見て取れた。

そんな時、ディエヴァが急に笑顔になって話し始めた。この苛立ちを少しでも忘れたかったのだろう。

「そういえば、セイレーンになってしまうような事が起きてしまう前にね、私のファンだって子がとても素敵なプレゼントをくれたの」

ディエヴァはそれは今回の事件に関係のあることではない、とわかっていながらも話した事だった。
それを話してくれたのは、奇跡に近い。その内容が今回、2人の頭に引っかかる事となったのだ。

その内容とは、ディエヴァのファンだと言う女2人がディエヴァのもとを尋ねた。
一人はリーチが長くまるでモデルのような体型をした、空のように綺麗な髪の女と、瓶ぞこメガネをして、振袖がついたような白衣を着た、なんとも珍妙な格好をしていた女の二人。
そのメガネの女が、試験管に入った言葉に表せないほどの美しさを放ちながら輝き宙に浮く、音符をディエヴァに手渡さそうとした。
本来はファンからよプレゼントは断っているのだが、遠い所からわざわざやって来たらしい2人の気迫に押されて負けてしまったディエヴァは、その音符を受け取ってしまったらしい。
それは、つい事件が起こる前日の事。

男の子とカンナヅキは、その怪しさに目をつけることにした。

「おそらく、この音符が何かのタネなんだろうけど今見つけて対象にしたとしても手がかりはおそらく0に近いだろうね…調べあげるのにも時間がかかりすぎる」

そう、男の子は残念そうに言った。