「ーーーーでは、僕達はその時が来るまで近くのホテルか何かで待機しておきますので」
男の子は笑顔でそう言った。カンナヅキはこの依頼を引き受ける事が、なんとなく腑に落ちなかった。
それもそう、男の子が質問した内容を含んでも、セイレーンは本当にディエヴァなのかもわからないままだった。
そんな、依頼主を捕らえるというような依頼をどうやってこなせばいいのか、カンナヅキの頭の中は疑問だらけだった。
ディエヴァは立ち上がり、2人を「男女奏」<ウーマンテット>の外まで案内する、と申し出てくれる。
2人は素直に甘え、ディエヴァの後に、先程の静かな廊下を歩いていた。
カンナヅキは、こっそり男の子の後ろから耳打ちをした。
「ちょっと、いいの…⁇」
不安気にカンナヅキが尋ねると、男の子は少しカンナヅキの方をみて、柔らかく笑った。
「大丈夫。僕が居るから」
とだけ言って、前を向いた。
カンナヅキはこれ以上、ここで咎めるわけにもいかず、狂った調子を整えるように、心の中で悪態をついた。
そしてまた、賑やかなホールにもどる。
ここを訪れた人々はディエヴァを指差し何かを言っている。
カンナヅキはこれで、男の子の言っていた通りディエヴァは本当に有名なのだと初めて実感した。
そして、人々の熱気あふれる外に出た。魔器のおかげで涼しかったが、気づかぬうちに冷やされた身体は外に出て見ると、なんだかあったかい何かに包まれたようですこし心地よかった。
「では、よろしくお願いします」
ディエヴァは、深々と頭を下げた。
2人は、いえいえ、と言いながら頭を上げるのを待った。
そしてディエヴァに別れを告げ、てきとうに泊まれるホテルか宿を探した。


