「ディエヴァの依頼の件でございますね、少々お待ち下さい」
受付の女が通信用魔器で何かを話した後、藍色の椅子から立ち上がり受付をすり抜けるようにして…いや、すり抜けたのだ。
何か魔法を使っている事は分かるのだが、物体を目の前ですり抜けられるとカンナヅキは思わず身を強張らせてしまった。
「ディエヴァの待つ待合室までご案内致します」
受付の女はそう言いながら先を歩く。
公演を行うホールとはまた違った扉の先に案内される。
扉を閉じたその瞬間、騒がしかった受付のあるホールとは真反対の静けさが三人を包んだ。
聞こえるのは受付のヒールが奏でる音と、二人の靴音。
長い廊下を歩き、ある部屋を前に受付の女は徐々にスピードを緩め、歩を止めた。
落ち着いたブラウンの扉。
「こちらになります。中で少々お待ち下さい」
そう言われ、男の子が開けた扉の向こうには、白いテーブルを挟んだ対のソファー。
そして観葉植物だけ、という少し殺風景な部屋だった。


