風神さん。



「私はね、俗に傭兵部族っていわれている、ツキビト族の人間なの」



ツキビト族は、海に囲まれた島の、さらに岩山に囲まれた世界から孤立したところで過ごしている。
だから独自の文化が発達し、それに伴い通常の人間では遠く及ばない「力」を生まれつき持つ部族となってしまった。
その孤立した中でツキビト族は、幾つもの村を作っていた。

カンナヅキが居た村は、血筋を酷く気にする村で、ツキビト族だけの純粋な血筋を好んだ。
その、暗黙の了解とも言えるべき掟を破ったのが、カンナヅキの母親だった。
まだ幼いカンナヅキには父親が一体どんな男なのか、知らされていなかった。

そしてカンナヅキが他の血が混ざった子供だということも、母親が他の男と交わったことがばれたのも当然と言えるべき流れだった。

そして、母親は村を追放され、産まれてきた子供に罪は無いとし、カンナヅキは村に居ることを許されたが噂はすぐに広まる。
そこから、カンナヅキが出来損ない、と呼ばれ村の者たちから白い目で見られるようになった。

肉親も居らず、孤独な毎日を村で過ごすのは寝ているときだけ。
その他の時間は、村の誰にも見つからないよう、ひっそりと村を抜け出し近くの野山に出かけ日々を過ごしていた。

そんな、ある日の事だった。