風神さん。


そう昔話をするように、まるで他人事のように淡々と話す男の子から笑みは漏れなかった。

「そしたら、銀狼はある契約を出したーーー」

貴様に、有り余る魔力を与えよう。その代わり貴様の記憶は私のものとなる。

記憶を奪われる事に何の恐怖もなかったんだ。その時はすごく悲観的になっていたから。
僕が頷いた時には、銀狼が僕に飛びつき首に噛み付いた。

瞬間身体に熱く燃えたぎる何かが駆け巡った。

薄くなる意識と共に、何か寂しくなっていったのも覚えている。
そして、半日ぐらいだろか…その場所で苦しんでいた。

苦しみがなくなった後には銀狼の姿はどこにもいなかった。
そして、契約、と銀狼がいったその場面だけが記憶となり、僕は心で寂しさを感じていた。
最初はよかったんだ、でも身よりも愛していた人も分からない…ぽっかり浮いたような存在になってしまっていた。

後悔はたくさんあったけど、この通り桁違いの魔力を手に入れる事もできた。

そして迷っていたら、ここのギルドにたどり着いたんだ。