「やあやあ、新人さん!これまた可愛い子が入るんだね、嬉しいなぁ」
そう、ニコニコと笑顔で言いながら近寄る男。
レーヌはさっさとどこかへ行ってしまった。
男は緑の髪をし、長い茶色が基調のコートを着ていた。
これといって特徴があるわけでもなかった。
男はカンナヅキの両手をとり、顔を近づけた。カンナヅキは臆さずそのまま男の瞳を見ていると、また楽しそうに鼻から息を漏らした。
「僕はね、ラナーっていう者だよ。「緑の創造師」<グリーンコレクター>っていう魔法を扱っててね、大体の草花は僕の思い通りにつくれるんだけど…これ」
ラナーが右手をカンナヅキの手から話すと、右手に小さな魔法陣が現れ、四つ葉のクローバーが今度は現れた。
「四つ葉のクローバーの花言葉は、幸運。そしてもう一つが私はあなたが欲し」
ラナーが言葉を最後まで言いきる前に、ラナーの背後から喉仏にクナイをあてがわれた。
「トゥーヴァ⁉︎」
殺気に驚き後ろを振り返ると、トゥーヴァと呼ばれる男の子と同じ背丈ぐらいの女が気をつけの姿勢で立っていた。
「お前、仕事だったんじゃ」
「今ちょうど終わったとこだ」
淡々と言うトゥーヴァ。先程確かに扉が開かれていたのは知っていたカンナヅキは、トゥーヴァが帰って来たので扉が開かれたことを理解した。
トゥーヴァは前髪が左目にかかるような分け方をし、髪の毛は全体的に暗い紫だ。藍色のマフラーをしていて紫の服を来た姿は、何か隠密の物を彷彿とさせた。
「主よ、またナンパか…」
呆れたようにラナーを見つめるトゥーヴァは、今度は腕を組むと、カンナヅキと目があった。
トゥーヴァは、なるほど、新人か。と言うとカンナヅキの方へ歩み寄った。
「はじめまして。私はトゥーヴァという。意味は「天国の木」。主のラナーにつけてもらった名だ。私は主に仕える忍びとして日々鍛錬に明け暮れているぞそして、私の魔法は…」
そうトゥーヴァが言った瞬間、一気に周りが静かになった。
時が止まったのでは、と周りを見渡すが同じように騒いでいた。
「「音術師」<アートサウンド>だ。音を操ったりする」
トゥーヴァの声だけがカンナヅキの耳に届き、なるほど、とカンナヅキが理解すると、わっとまた賑やかなギルドに戻った。
もともとこの魔法は指揮者や音楽関係の人が習得する事が多いらしいが、トゥーヴァは自らの隠密行動に役立てている、と話していた。
トゥーヴァとラナーにも同じように自己紹介しながら話していると、また扉が開いた。
犬の鳴き声が聞こえ、カンナヅキが扉の方を向く。
トゥーヴァが小さな舌打ちをしたのを、カンナヅキは聞き逃さなかった。


