炎をごうごうと吐きながら海へと落ちていく空船を、二人はただ見つめていた。

「……あっ」

カンナヅキが、しまった、というように目を見開いた固まった。
それにどうしたの、と男の子が問いかける。

「乗客を乗せたまんま…」

男の子は、クスリと笑った。なんとなく、柔らかく笑うのはこの男の子のクセなのだろうか、そんな優しいような笑顔にカンナヅキは胸を締め付けられた。
カンナヅキが探している「風神」を彷彿とさせた。

「大丈夫だよ、風の力を借りて、皆は港のほうに連れて行ってもらったよ」

港の方を向くと着飾った人達が見えてカンナヅキは安堵の息を吐いた。

「ところで…ぼーや」
「ぼーやじゃないやい」
「「風神」って知ってる⁇」

この男の子も、カンナヅキが探している「風神」のように風魔法を使って攻撃をしていた。
ましてや、大きなつむじ風を出せるほどの魔力を持った魔道士など世界中どこを探しても「風神」以外にいないはずだ。


「んー…僕が、その「風神」だよ」