「あの時の…ぼーや?」
カンナヅキの瞳には涙が滲みほほには跡が残っていた。
何かをされたのか。そう思った男の子だが、ぼーやじゃないやい、と言い返しておいた。
「お姉さん、何で泣いてるの?…泣き虫?」
カンナヅキは慌てて違うわよ!と否定をした。それを見て、男の子はにこりと笑った。
自分を和ませるため、そう理解したカンナヅキも少しだけ微笑んだ。
「私も、戦わないと…」
立ち上がろうとするカンナヅキだが、膝が笑ってうまく立てず、座り込んでしまう。
どうしても、奴隷として支配されていた恐怖が蘇ってしまう。
「お姉さん、これ持ってて」
カンナヅキの近くに歩み寄った男の子は、リュックサックをカンナヅキに渡した。ずっしりと重量感があり中身は何かと尋ねるとリヴァイアサンの卵を頂戴したらしく三ヶ月ほどあたためている、と男の子は答えた。
「すぐ終わらせるよ」
そう言ってシュベロ達の方へと向いた時、カンナヅキに向けられた背中は小さいのだが、大きく見えた。


