「お久し振り。 三十年振りくらいかしら?」 彼女の姿は見えなかったが、 気配だけは気持ちが悪いほどよく分かった。 「黙れ。僕は、お前になんか会いたくなかった」 エリアルは、憎々しげに吐き捨てた。 「つれないじゃない。 せっかく、ここまで探しに来たっていうのに」 一方、女はそれすら楽しむように挑発的に言った。 「だけど、あなたがこうして来たって事は、 もちろんそれなりの覚悟があっての……」 「黙れ」