今までないくらい、真剣な顔つきだった。
「………あ、の」
「本当なのかと聞いてるんだ」
「そうだよ、私…か、薫さんじゃないのに…」
「永澤サン」
顔をあげると苦しそうな表情をみせた矢野くんが見えた。
薫さんと付き合ってるのかな。
遠距離だったのかもしれない。
「希依ちゃん、もうすぐミィーティングだから」
「あ、はい」
杉山くんについていこうと一歩を踏み出したとき、
「……希依」
矢野くんの手が私の手に触れて
ドキンっと心臓が波打った。
名前……呼んでくれた…矢野くん。
「矢野くん?」
「あとで俺のオフィス来て、来なかったら恥ずかしいこと…」
「わ、わかったから!」
そんな私を見てまた吹き出した。
こんなときも性格の悪さは健在みたいだ。
