でも、独りで苦しんで泣いて。
いつ終わるんだろうって。
幸せと、入学式に桜の前で描いた〝青春〟なんて言葉は。
あたしの手に落ちてはこなかった。
ずっとずっと、独りだったんだ。
誰も助けてくれない、気づいてくれない。
もう、部活を辞めるしかなかった。
もう、二度とは手に入らない青春という名の日々。
高校生になった春。
桜の木の下であの頃のことを考える。
二度と、だよ。
いじめのせいで、あたしには青春なんて手に入らなかった。
これからは、もう……
「美喜(みき)ー!写真撮るわよー」
「あ、うん!」
桜に見惚れていたあたしは、お母さんに近づいて行った。


