「あたし、中学の頃いじめられてたの……」



 そう思うのに、あたしの口は動くの。


 言っていいのか分かんないまま、あたしは喋り続ける。




「部活の中で、理由もなくいきなり始まったの……最初はパシリだったけど、少しずつエスカレートしていって……」


「うん」


「殴られたり、蹴られたり……バドミントンだったんだけど、ラケットは持てなかった……」


「う、ん」


「生きてる意味も、そこにいる意味も分かんないまま」


「先生とかは……」


「知らなかった。親にも言わなかった」


「なんで?」


「だって、迷惑かけちゃうもん……」



 親ってそういうもの。


 そう言われるかもしれないけど、あたしにはそういうものじゃないの。



「あぁ、そうだな。嫌だよな、美喜は優しいから」


 でも、優喜の言葉は意外だった。


 理解、してくれた。

 あたしの気持ちを。


「あたしの青春は、あの時終わったの。願っても願っても、幸せなんて来ないんだよ。みんなと同じように、輝く日々を描いてただけなのに、そんなものなかった」



「だから、青春部なんて無理だよ……優喜はいじめないと思うけど、部活なんて怖いよ……青春だって、もう戻ってこないのに、そんなの虚しいだけ」