***


結局わたしも朝霧くんに誘われて、何故か孝輔までもついて来て、わたしたちは4人で図書館での勉強会をすることになった。


歩きながら近くの図書館へと向かっている道中、とても幸せそうに話をする菜々と、その隣で優しい微笑みを浮かべる朝霧くんを見つめながら、わたしの横にいる孝輔が、ぼそりと呟いた。


「……あんな男の、どこがいいんだか。」


わたしは一瞬、誰のことを言っているのか、理解に苦しんだ。


孝輔の視線は確かに真っ直ぐ、朝霧くんに向けられているけれど、朝霧くんはそんな風に言われるような人ではないと思ったからだ。


彼はまるで完璧で、容姿も文句なしで、勉強もスポーツだって、難なくこなす。


おかげで学校の女子はみんな虜になっていたし、菜々もまたその1人だ。


結局なんの言葉も返せずにいると、図書館に到着してしまった。


勉強中も、菜々は朝霧くんにべったりで、本当にわからないのか、しきりに質問ばかりしていた。


……あれじゃあ、気持ちなんてまるで筒抜け。


苦笑を浮かべながらもその様子を見ていたわたしは、喉が渇いてしまって、全員分の飲み物を買おうと、席を立った。


「飲み物買ってくるね。みんな何がいい?」


わたしが言うと、朝霧くんが菜々から離れ、爽やかな微笑みを見せた。


「俺も手伝うよ、小日向。」