瞼を開くと、辺りはすっかり明るくなっていて、重い身体を起こし、まだ隣で眠る蒼生くんの顔を覗き込む。


朝日に照らされて薄茶色に輝く柔らかな髪を撫でると、蒼生くんはくすぐったそうに表情を緩めた。


何か幸せな夢でも見ているのか、微かに口角が上がっている。


……きっと、その夢の中にはわたしじゃなくて、菜々が居るんだろうな。


自分で考えながらも、胸を傷めていると、突然蒼生くんの伏せられたまつげが持ち上がった。


「……おはよう。」


蒼生くんは微笑むわたしの顔を見て、不思議そうに何度か瞬く。


「……あれ、寧々ちゃん、……俺、」

「うん、……また酔っ払ってた。」


わたしが苦笑すると、蒼生くんはあちゃー、と前髪を掻き上げて、


「またやっちゃったのか、俺。ごめんね。」


とわたしの髪に手を伸ばし、人差し指に巻き付けては、それを解いた。


そして突然にまにまとした笑みを浮かべる蒼生くんに向かって首を傾げてみせると、


「にしても寧々ちゃん。紫の下着って、よっきゅーふまんなの?」


ぺらりとわたしの被っている布団を捲って言った。


「ち、ちが、なにそれ!」


真っ赤な顔をして返すと、蒼生くんはあはは、と笑う。


「やっぱり寧々ちゃんは、からかいがいがあるなぁ。」


その言葉は蒼生くんが、前からしきりに言っていたことだった。