「────えー、前期の主な仕事内容と体育祭について、なにか質問ある方いますか?」
「……」
「では、さっき配った体育祭の実施要領のプリントは、明日の7時間目に各クラスの生徒に配布してください。これで体育委員会を終わります」
…やっと終わった。
大きなあくびと伸びをしてから、目の前のプリントの束に目を落とす。
それを持って、活動場所をあとにした。
1人で教室までの廊下を歩いていると、うしろからバタバタと足音が聞こえ、それが聞こえなくなったと同時に手が少し軽くなる。
「早瀬」
「俺が持つ」
「なっ、これくらい持てる…!」
「ったく、なんでも1人でやろうとするとこ、昔から変わってねえな。なんのために委員2人いるんだよ。素直になれって…」
“素直”という単語に頭と心が反応した。それと同時に、モヤモヤがその2つを覆う。
「こっ、これくらい持てるって言ってる…っ!」
「おいっ、天音!」
わたしは早瀬からプリントを取り返すと、走って教室に行ってプリントをしまい、また走って家に帰った。
わたしを気遣う早瀬なんて、ヘンだし気持ちわるい…っ。



