Dear・・・

のんびりと道を歩く。


冷たい海風にさらされ寒さを感じつつも、海に向かったベンチに腰掛、煙草に火を付けた。


海の音、車の音、汽笛の音、子供たちの騒ぐ声。

緑多き公園、無機質なビル。

狭く込み合った道路に、澄み切った広い大空。


混沌としたこの場所が慶介のお気に入りだった。


何をするでもなく、淀んだ青が広がる海を見つめていた。


誰も自分を気にする者がいないこの場は唯一心が解き放たれた。


だからと言って考える事が変わるわけではない。


想うはただ一人。


翔太のこと。