罪な恋。

「あ!遅刻する!」
私は自分が急いでいたことを思い出してとっさに立ち上がった。
でも、思いのほかさっき擦りむいた膝が痛む。
その様子を悟ったのかぶつかった人が声をかけてきた。
「痛そうですね。送りますよ!俺も遅刻なんで。」
そう言ってはにかんでくる。
いやいや、遅刻ならもっと焦れよ。
一人で心の中でつっこみながらも、痛さに勝てずその人に、送ってもらうことにした。

「会社大丈夫なんですか?」
確か、この人も、遅刻するとか言ってたような…
見た目からして多分23ぐらい。
新入社員なんだろう。
遅刻して大丈夫なのかな?
「会社じゃないですよ」
私の体を支えながら彼は言った。
「え?じゃあ一体…」
この人はなんなんだ。
会社じゃないって、スーツをびっしり来てるくせに。
だんだん不信感が募る。
「俺、君の学校の先生だよ。今年からはいることになった。宜しくね。」

口角をあげて優しく微笑む彼の頬に小さなエクボが見えた。
え?
先生…?
「ぇええええーー!!!!!」
絶対に遅刻したらいけないでしょ。
また、一人で心の中でつっこんだ。