夏見ちゃんを見ながら言った。

すると、驚いた表情で私を見ている。

「…え」

「私は昔ね、一人で遊んでいたの。友達がいなくてね。もちろん作りたいとは思ったけど、自分から話す勇気がなくて。そんな時に夏見ちゃんがこんな私に話しかけてくれた。それから私は、行きたくなかった幼稚園も行きたくなったんだ。夏見ちゃんに会えるのが嬉しくて…」

思い出すだけでも、夏見ちゃんには助けられたと感じている。

深呼吸をして、話をした。

「そんなある日、私が意識を取り戻していた時、幼稚園を卒業して小学校からだった。ずっと中学校まで一人だったから寂しかった。夏見ちゃんのことも記憶障害で覚えていなかったし」

小学校の頃の自分と中学校の頃の自分。

ずっと一人だった。

涙がまた出そう。

でも、あと少しだけでも言わせて。

「けど、今は違うよ」

もう一度、昔のあの言葉を言いたい。

「夏見ちゃん…」

《夏見ちゃん》

夏見ちゃんとしっかり顔を見合わせて、そして…

「《いままで…ありがとう》」

この言葉と同時に、私達は涙が再び溢れた。

《ねぇ夏見ちゃん》

《なぁに?》

《私に友達が出来たのは夏見ちゃんのおかげだよ。だからこれだけ言わせて》

《うん》

《いままで…ありがとう!》