それから一週間後。

私は退院をする事となった。

ナースの人達に手を振りながら外へ出た。

「…わぁ」

久しぶりに外へ出ると何かいい気持ちになる自分がいる。

…久しぶりに?

何で、久しぶりにと思うんだろう?

「ねぇ、友紀ちゃん」

その時、手を繋いでいる私の母が話しかけた。

「どうしたの?」

母の顔を見ると、どこか寂しげな表情でこちらを見て笑っていた。

「少しずつで…いいからね?記憶を思い出すのは…」 

「ぁ…うん!」

笑って言ったつもりだけれど、うまく笑えたかわからなかった。

だって、母は何か隠しているように見えたから。