「ON」にするがすぐさま、「OFF」になる。

「中身の問題ではないのか~。すべて、このイビキの振動で……まるでサイコキネシスだな。固定するには………」

「ガムテープ!!」

「えーーっ!! 大胆な発想だな」

「ダメ?」

「いや、GOOD過ぎて。押さえてろ。伝えてくる」

「はあ~(>_<)、逆じゃ!? 『押さえとく。伝えてこい』じゃ!?」

「あのな~俺、客なんだけど。それと相手が詩月なら、そう言うがな」

「へっ!?」

「何か言いたそうだな」

――やっぱり、できてるな

「いいえ、何も」

イチノは思ったが恐いので言わないことにした。


1人、轟音のする部屋に取り残され、スイッチを押さえているため耳を塞ぐこともできない。

頭の芯まで痺れてジンジンと痛むような気がする。

かのゆるキャラは、暢気に寝ていて起きる気配さえない。

数分後。
勢いよく扉を開け入ってきた理久は、イチノが押さえているスイッチに素早くガムテープを巻き付けた。

「よく耐えたな。詩月なら戻ってくる前に失神していた」

イチノの手を引き扉の前で理久はポツリ、呟いた。