4月末。
梨の実騒動が未だトラウマのコルキ旅館に、1本の電話がかかってきた。
「ありがとうございます。黒玉村コルキ旅館です」
「チーバ村非公認ゆるキャラ、なっしーだなっしっ」
独特の語尾を聞き、サーっとコルキの血の気が引いた。
「……先だってはありがとうございました」
「こちらこそ、お世話になったなっしっ。実はGW、黒玉村に行こうと思うなっしっ」
「……」
生憎、ご予約がいっぱいでございますと、答えてしまいたい衝動を抑えるのに数秒、間を置いたコルキ。
「ありがとうございます。お泊まりの日程は?」
「3日と4日と5日、夕方には行けるなっしっ」
「承知いたしました。お待ちしております」
受話器を置いた後、コルキは暫く動悸が止まらず、僅かに帯を緩めた。
「女将さん? 顔色が……」
コルキは、尋ねた番頭に「なんでもないわ」と答えて、いつも通りに振る舞った。
梨の実騒動が未だトラウマのコルキ旅館に、1本の電話がかかってきた。
「ありがとうございます。黒玉村コルキ旅館です」
「チーバ村非公認ゆるキャラ、なっしーだなっしっ」
独特の語尾を聞き、サーっとコルキの血の気が引いた。
「……先だってはありがとうございました」
「こちらこそ、お世話になったなっしっ。実はGW、黒玉村に行こうと思うなっしっ」
「……」
生憎、ご予約がいっぱいでございますと、答えてしまいたい衝動を抑えるのに数秒、間を置いたコルキ。
「ありがとうございます。お泊まりの日程は?」
「3日と4日と5日、夕方には行けるなっしっ」
「承知いたしました。お待ちしております」
受話器を置いた後、コルキは暫く動悸が止まらず、僅かに帯を緩めた。
「女将さん? 顔色が……」
コルキは、尋ねた番頭に「なんでもないわ」と答えて、いつも通りに振る舞った。