教室に戻り、桜木に言った。

「ねぇ、B組の小池愛理って知ってる?」

「あぁ〜顔だけなら。それがどうした?」


私は少し黙り込んでしまった。


愛理が桜木と話してみたいらしいよ。
こんな説明じゃダメだ。
こんなんじゃ、桜木が愛理に興味を持ってしまうかもしれないし、愛理にこんな風に言ったことをバレたら怒られる。


愛理は元々顔がかわいいし、媚の売り方も知ってるから、もしかしたら桜木が愛理を好きになってしまう...



“そんなの嫌だ”



なぜ、こんなことを思ったのか、よくわからない。


仲良く話す日々が壊れるのが嫌だ、その時の自分は幼くて、そんな風に解釈した。


「いや、別になにもない!あ、A組の子が桜木のこと呼んでるよ!じゃ...」

勝手に気まずくなって、走って梨奈の元へ行った。


こんなこと一人じゃ抱えきれないと、思った私は梨奈に相談した。


「梨奈、あのさ...」
「ん?」

「なんか桜木のことがさ...」

「あぁ!好きなんでしょ?!」
そんな梨奈の返しに、ドキッと驚いた。

「いや、好きとか言ってないし...」

「もう、桜木と彩未見てればわかるって!女子みんな言ってるよ?」

「えー?!」
思わず声をあげてしまった。

背中をボンっ!と梨奈が思い切り叩いて来た。


「彩未なら大丈夫!たとえ敵が来ても、彩未らしくいれば、桜木が振り向いてくれるよ‼」

「じゃ、先生呼んでたから!」


梨奈は、いつも私より先を走って。
いつも私のことを私より分かってて。


梨奈には幸せになって欲しい。
心からそう思う。



そして家に帰って、カーディガンをハンガーにかけて、ベットに寝転ぶと、携帯がなった。

見ると知らないメアドからメールが来てた。