身代わりの彼女。




やがて、その人は私の腕をがっちりと掴んだ。

『っ!……はぁ…はぁ。』

『おいっ!!何で逃げるんだよっ!!』

『はぁ…はぁ…はっ……。』

『何か言えよっ!!』

そう言って有海くんは私の腕をギリギリと強く掴む。

すごく…、痛かった。

『っ!痛っ…。』

私はあまりの苦痛に顔を歪めた。

『あ?うるせぇ。

それより何で逃げるんだよ!』

『何でもっ…無いもん…。』

私の語尾はすごく小さな声になっていた。

『だったら何で会って話すのが嫌なんだよ。』

『気分っ!!』

『はぁ?気分だと?』

『ってか、離してよ。

痛いじゃんか。』

『はぁ?痛いだぁ?』

そう言いながらもっと強く握る。

いや…、これ以上は…

本当に折れちゃう…。

私はギュッと目を瞑った。

そうしたら腕の力は弱くなった。

『ごめんな…、元はと言えば俺のせいだもんな。』

『えっ…?』

私は目を開けた。

すると、苦しそうな…辛そうな…


困ったような顔で見つめて来た。

ああ、そんなに私のことが嫌いなんだ…。

もぉ…、消えたい。

『………じゃない。』

『えっ…?』

『麻美さんがいるんだから私はいらないじゃない!!』

私はそう言ってまた走り出した。

今度は涙が溢れてきて止まらない。

そして嗚咽が漏れる…。

苦しい…。