身代わりの彼女。




ーープルルルルッ。
プルルルルッ。

私は携帯に手を伸ばし電源を入れ、電話に出た。

「もしもし、有栖?」

『だ…いき?』

「ちょっと外に出て来てくれないか?』

『何で?』

「話がある。」

話って…、別れ話?

『分かった。』

私は逃げないことに決めた。

「待ってる。」

『ん。』

「じゃあな。』

『ん。』

私は外に出た。

すると門にすがる人影。

私は迷わず声をかけた。

『大樹、話って何?』

『ああ、ここじゃなんだから場所変えねぇか?』

『じゃあ、家上がりなよ。』

『ん、了解!』

私は玄関の扉を開け、自分の部屋に大樹を連れ込んだ。

『で?話って?』

『あの、えっと…。』

『どうしたの?』

『麻美が大樹は私の婚約者だって言ったんだろ?』

『ん。』

『それに、間違いはない。』

『……そっか。』

『だから………な。』

『だから、別れようって?』

怖いよ。

『……ちがっ!』

『じゃあ、何?』

『だからっ!その婚約は破棄してもらったんだよ!』

『えっ?』

『だから婚約は破棄してもらったんだよ!』

破棄?

そんなことが許されるの?

でもっ…、まだ一緒に居られるんだね?

『っ!ふぇ…、大樹ぃっ!』

私は大樹に抱きついた。

『有栖?』

『ずっと、ずっと怖かった。』

『え?』

『もし、別れようって言われたらってもし麻美さんと大樹が結婚したらって。



ずっと怖かった。』

私は泣きながらそう言った。

すると大樹はギューっと抱きしめて、

『バカ有栖!俺が有栖と別れろって言われてはいそうですかって言えるわけねぇだろ。愛してんのに。』

『でも、婚約は絶対だと思ってたから。』


『大丈夫、もう心配すんな。』

『ありがとぉ!大樹!』

私はそのまま大樹に抱きしめられたまま意識を失った。