身代わりの彼女。




俺の目の前に有栖の笑顔がチラつく。

有栖っ…、もっと早くっ!

もっと早く気付いていれば良かったのか?

目の前に最悪なことがチラつく。

有栖がもし、車に引かれていたら?

もう助からなかったら?

いや、そんなはずはない。

でも、ヤバイかもしれない。

この雨の中だと、低体温症を起こしても可笑しくねぇ。

俺は目の前に座り込む人のようなものを見つけたから立ち止まった。

それは紛れも無く、有栖だった。

『有栖っ!!聞こえるか?』




返事が返って来ない。

俺は有栖の手を握った。

すると手は本当に生きて居るのかと思うほど冷たかった。

俺は有栖をおんぶして家まで走った。

玄関には両親が心配顔で俺に容体を聞いて来た。

俺は低体温症だと説明した。

すると父さんが血相を変えて家を飛び出し、車を発進させる音がした。

母さんと一緒に車に乗り込んだ。

有栖は少し荒く息をしていて相変わらず全身が本当に冷たい。

そして病院に着くと、すぐに診察室に入った。