身代わりの彼女。





ってかさ…。


『いくら玄関の鍵が開けっ放しでも、入ってきたら泥棒と同じじゃん。』

私は素直な感想を述べた。

多分誰もがそう言うだろう。

だって常識だしね。

『あ?もし殺されたらどうすんだよ。』

『私を馬鹿にしてるの?』

『ちげぇよ、もし入ってきたのが俺じゃ無くて不審者とか強盗とかだったらどうすんだよ。』

『っ!それは…。』

『だから不用心なんだよ。』

『ごっ…ごめんなさい…。』

『ちっ、分かったならさっさと寝ろ。』

『は?』

『熱、下がってねぇんだろ?』

『あっ…、うん。』

有海くんがそう言ったからか、いきなり怠さが身体を襲った。

私は起こしていた体をゆっくりとベッドに沈める。

『風邪薬は?』

『えっ…?』

『風邪薬は飲んだのか?』

『あっ…、飲んで…無いかな?』

『ちっ、そんなんだから風邪が治んねぇんだよ。』

『すみません。』

そんなに怒っているなら帰れば良いのに。

私は心の底からそう思った。

『ちっ、別に謝るな。

ってか風邪薬はどこだ?』

『えっと、そこの棚の上から2番目の右の方にある箱です。』

『ん。』

有海くんはガサガサとあさって、薬を取り出した。

でも有海くんは私に薬を手渡すと部屋から出て行った。

なんか中途半端な人だなと思った。

だって、水が無いと飲めないじゃん。

私はゆっくりベッドから体を起こし、ゆっくりと立った。

そして、扉へと歩いて行き、開けようとしたら吹き飛ばされた。

いや、正確には誰かとぶつかって吹き飛ばされた。

『っ!痛っ。』

私は思いっきり尻もちをついた。

私はゆっくりと上を見上げた。

すると有海くんが驚いたような顔をして立っていた。

でも次の瞬間…、

『大丈夫か?一体どこに行こうとしてたんだ。』

『えっと、薬を飲むための水を取りに…。』

『ああ、それなら問題無い。』

『ふぇっ?』

『ここにある。』

そう言いながら有海くんは右手に持っていた水を差し出した。

私はそれを受け取って薬を口に含み、水を飲んだ。