バリィンッッ。

途轍もない大きな音がして、黒人っぽい人が部屋に駆け込んでくる。

『麻美様!!お逃げください!!』

『ちょ…、どーゆーことよ!!』

『分かりませんっ!とにかくここは…。』

バァンッ!!

『有栖っ!!』

『大樹…。』

部屋の入り口には私の大好きな人が居た。

大樹は私の元へ駆け寄って来て、私を抱き寄せた。

『無事で良かった。』

抱き寄せる腕の力は、そんなに強くなかったけど、腕が痛い。

多分…、さっき蹴られたところだ。

『大樹…、痛い。』

『えっ…?』

『腕…。』

『腕?』

大樹は私の腕を優しく掴み、袖をまくった。

すると、紫色っぽくなった傷が何個かできていた。

『麻美…、いい加減にしろ。』

『いやっ…、私じゃない!!』

『ふざけるなっ!他に誰がいる!!』

『大樹、落ち着い…。』

『有栖は黙ってろ。』

『分かった。』

私は俯いた。

私は部屋の入り口に目を向けた。

すると飛鳥ちゃんと翔吾が立っていた。

飛鳥ちゃんの目は腫れていた。

きっと、たくさん泣いたのだろう。

『翔吾、有栖と飛鳥を連れて戻れ。』

『分かった。』

大樹は私の身体を離すと麻美さんと向き合った。

麻美さんは私を鋭く睨んだ。

翔吾は私の肩をだいて部屋を出た。

でも、その寸前に見えた気がした。

大樹が真っ黒なオーラを出していたのが。