次の日の放課後。
私は浩太さんの家に行く。
コンコン
返事はない。
《まだ仕事かな》
私は浩太さんの仕事場に行く。
「あの。山口浩太先生はいますか?」
「少々お待ちください」
受付の人が丁寧に対応してくれる。
「山口先生なら先ほど帰られていますね」
「そうですか。ありがとうございます」
私は、浩太さんに電話してみる。
「もしもし?浩太さん?」
『ああ。愛生か。どうかした?』
「今どこかなって」
『今家にいるけど』
「今から来てもいいかな?」
『うん。いいよ』
「じゃあ、後で」
『うん。後で」
私は早足で浩太さんの家に向かう。
この気持ちを早く伝えたくて。
コンコン
ガチャ
「いらっしゃい」
「話があるの」
「うん。入って」
私は家の中に入る。
「あのね、浩太さん」
「ん?」
「私、浩太さんのこと好き」
「うん」
「だから、私と付き合ってください」
「愛生。あいつのことはいいのか?」
「うん。私、気づいたの。辛い時も楽しい時もいつもそばにいたのは孝佑じゃなくて、浩太さんだって。だから、これからも浩太さんといたい」
「俺も、愛生とずっと一緒にいたい」
「浩太さん」
浩太さんは何も言わず私を抱きしめた。
その時、首に針のようなものが刺さり、気を失った。
気が付くと椅子に縛られていた。
「浩太さん?」
すると、後ろから肩を触られた。
「キャッ」
「愛生。起きた?」
「浩太さん。これ、どういうこと?」
「愛生。俺はもう大切な人を離したくない」
「・・・」
「だから、こうしたらずっと離れないでしょ?」
「私、離れたりしないよ」
パリーンッ
浩太さんはコップを私の後ろの壁に投げた。
ガラスの破片が飛び、顔から血が出た。
「あ、愛生!?」
浩太さんは血を拭きっとってくれた。
「ごめん。痛かったよね」
「大丈夫。大したケガじゃない」
「ああ。俺、何してんだろう」
「浩太さん?」
「愛生。今ほどくから」
浩太さんはロープをほどいた。
そして、強く抱きしめ、キスをする。
「愛生。ごめん。俺、興奮すると自分が自分じゃなくなるんだ」
浩太さんは頭を抱え暴れた。
「大丈夫。私、いなくならないから」
「ううっ」
「浩太さん・・・」
苦しそうな浩太さん初めて見た。
私が守ってあげなきゃ。
「浩太さん。私浩太さんのそばにいる」
「愛生・・・」
「だから、大丈夫」
「愛生、ここに住もう」
「えっ」
「そしたらもう離れない」
「うん・・・。でも、学校もあるし、家族だって」
「愛生がそばにいないと俺、ダメになる」
「分かった。ここに住む」
「ほんとか?」
「うん。だから、浩太さんはダメなんかじゃない」