君みたいな人は初めてだ と笑っていたわね
傷を負ったその笑顔が切なくて
支えになりたいと思った

唄を歌い 二人で笑って
穏やかな時間
木漏れ日の日々
でも
優しい世界が突然 色を変えた
引き寄せられた体
あなたの腕が私を抱き締めていた

欲情の薫り
火照る体
好きだよと囁かれた時
私もこの人が好きなのだと知った
染まる紅があなたの指で弄られる
好きだよ 好きだよ
繰り返される甘い言葉はまるで魔法
されるがままに素肌を明け渡した


目をさまして聞こえたのは
走り去る足音 笑い声
隣に
あなたはいなかった

嘘つき狼
あなたはペテン師
あの傷も 悲しい過去も
全て作り話
甘い言葉は呪いの言葉
ずる賢い催眠術
逃げる背中に私は呟く
嘘つき狼
必ずあなたは孤独になるわ
独り 誰もいない奈落の底で思い知ればいい
あなたの罪深さを

さよなら嘘つき狼
私はあなたを憎まない
ただ静かにあなたが罰を受ける日を
楽しみにしているの

さよなら嘘つき狼
さよなら哀れな狼
さよなら罪深き狼

さよなら
さよなら