もう弟なんてやめてやる。

自宅。
時刻は夜中0時を指している。



雫がガチャ…と隣の部屋の
扉を開けた。

灯りがついていない真っ暗な
陸の────、部屋。


カチッと電気をつけて
部屋に入った。

当たり前だけど、
部屋に居るはずの陸が…居ない。


ボスっとベッドに寝ころぶと
陸の匂いがして。

同時にシャラ…と雫の首もとから
陸に買ってもらったネックレスが

力なく垂れた。


「っ」


陸の匂いに身体が包まれて、
次第に目に涙が溜まってく。


陸が居ないだけで
こんなに寂しいとは思わなくて。

陸に会えないだけで
こんなにも苦しくなるとは思わなくて。



「…………陸、」


気づけば、
震える声で名前を呼んでいた。

物音一つない静かな部屋。
返事なんて返ってこない。


いつもならすぐ
返事が返ってくるのに…