もう弟なんてやめてやる。

「じゃぁ、“百合”って呼んで?」

「………百、合」

「嬉しいっ!」


ニコッと笑った明石の手が
俺の頬に触れて。

軽くさすると、
甘い声で俺に引き続きこう言った。



「陸くん、キスして?」


ドクン、と目を見開く。

小さく手が震えた。


「…何で?」

「あたし達、もう“彼氏彼女”でしょ?キスして当たり前じゃない」

「っ」



クスクスと笑う明石に
殺意が芽生える。

それでもグッと耐えて、



「………目、瞑って」


従うしかなかった。