鋭い視線で俺を見つめる明石。


その目で、
すぐに分かった。



────本気で、言ってる。


今まで何度も思ったんだ。

雫がこのことを知ったら
どう思うんだろう…って。


『雫、泣くだろうなぁ』


ふと、頭に浮かんだあの時の飯田の言葉。


「っ」


グッと拳を握りしめた。
ギリッと、奥噛み。

そのまま目を瞑ると、


瞼の裏で浮かぶのは

─────雫の笑顔で。


「………っ」


雫の傷つく顔は、もう見たくない…


だったら、

どうすればいいかなんて
1つしかないだろ…



「分かっ、た…」

「本当!?」



俺の言葉に明石の表情が
一気に明るくなる。

そして、

ぎゅっと抱きついてきた。



「…………」


陸の視線が、

ゆっくりと窓の外へ…



────俺に出来ることなんて、

これしかない。