もう弟なんてやめてやる。


ごめんね、……雫。


「っ」


頭の中でさっきの雫の表情が
浮かんで。

胸が、痛んだ。

悲しそうな顔…してたな…。


廊下を突き進んでいた
足が自然と止まる。



「…何で、言っちゃったんだろ」


言うつもりなんて、
この先もなかったのに…

一生言わないつもりだったのに。


こんなことになるのは予測してたし、


言わなければ
雫も俺も今頃…、笑ってた。


俺が感情を抑えることが
出来ていれば…


雫に、


あんな表情をさせずに
済んだのに…


そう思っても、

もう時間は戻らない。


いくら後悔しても、遅い。



「ごめ…っ、俺のせい…」


全部、俺のせいだ。


雫はきっともう俺に
笑顔を見せてくれない──…



俺が、

何もかも奪った。


俺が、


壊したんだ…