「………く!陸ってば!」

「ん……?」

「あたしもう入ったから、陸もお風呂入っていいよ。ゴメンね、遅くなっちゃった」

「あー…」



そっか。
俺はあのまま寝てしまったのか。


目の前には大きな瞳で
俺を見つめる雫。

風呂上がりだから
雫の長い髪が濡れていて、

ポツッ…と水滴が
俺の頬に落ちた。


フワリとシャンプーの
香りがする…

寝ぼけていた陸の手が
自然と雫の髪へ伸びそうになって。


「…っ」



や、ばい───!



「分かった、入ってくる」

「…陸?」



雫を押し退けるように
慌てて自室から出た。