もう弟なんてやめてやる。

雫が帰ってきたのは、
22時頃だったと思う。


風呂上がりだった俺は
自分の部屋に行こうと、

玄関の前を通ったんだ。


その時、


『今日はありがとう』


雫の声がして。

気付いたらバンっと
玄関の扉を勢いよく開けていた。



『っ、ビックリしたー…。陸!?』

『…………』



ゆっくりと目が見開く。

予想はしていても、
その光景はあまりにも衝撃的で…


そこには雫と、

誰だか知らない男の姿。



『初めまして、陸くん?』

『………』


俺に向かってニコッと
挨拶してきたコイツが、

町田だったんだ。